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▶なぜ中学生がD級ポンプ訓練を行うのでしょうか。私は、もしこの地域が災害にあったとき、いち早く動けるのは中学生だと思っています。平日の日中、おとなはほとんど出勤していて、地域に残っていません。初期活動に参加できるのは地元に詳しく、体力もある中学生です。地域の守り手を地域で育成するという点で中学生が実践的な防災訓練を行うことは非常に重要であり、続けていく意義のある活動だと思っています。▶地域の方やPTAの方にどういった点でご協力をいただいていますか。昨年11月に行った訓練では、初めて実際に火を使いました。安全・確実に消火訓練を行うために、地域の方に頼んで、廃材の材木やドラム缶を調達したり、生徒たちが落ち葉拾いを行ったりしました。さらに、おこした火を有効に使うことを考え、PTA役員の方と相談しPTA会費からサツマイモを購入していただき、協力してくれた地域の方々・生徒に焼き芋を配付しました。まさに地域のつながりがあってこそ、成功した訓練だと思っています。▶SDGs達成にかける思い千川中では子どもたち自身が主体的にSDGsについて考え、行動することでより一層SDGs達成への機運が高まっています。本年度は子どもたちにSDGsの活動に参加してもらうために、SDGsバッジや、生徒たちが試行錯誤してイラストをデザインしたトートバッグを配布しました。防災ジュニアスタッフにはスタッフジャンパーを作製し、デザインも彼ら自身に選んでもらいました。これら一つひとつの取組みが、子どもたちが当事者意識をもって何ができるかを考え、行動する動機づけになっています。千川中は、これからも主体性を大切に、子どもたち発信のSDGsに取り組んでまいります。子どもたちとともに、誰一人取り残さない豊島区の未来を考えましょう千川中学校校長 永野祥夫先生なが の よし お▶どのような経緯で 千川中学校の訓練が始まりましたか。きっかけは総合防災訓練の当番がこの地域に回ってきたことです。そのころ、訓練に参加するのは高齢者ばかり。体力の関係でD級ポンプを操作できる人が少なくなっていました。そこで、当時の校長先生が、生徒に何かできないか考え、発案したのがこのD級ポンプ操法訓練です。単に放水するだけでなく、規律を覚えることが重要なこの訓練を、子どもに果たしてできるのか、消防団員からは不安な声も多数ありました。しかしまずはやってみようとチャレンジし、それから10年、訓練は千川中の伝統になり、東京消防庁から消防総監賞を受賞するまでに立派に引き継がれました。うれしいことに、毎年新入生が途切れることなくジュニアスタッフに手を挙げてくれています。つい最近は、千川中在学時に防災スタッフの訓練を見たことがきっかけで、大学生が2名も消防団に入団してくれました。▶地域の子どもたちに伝えたいこと子どもたちには、「あなたたちは助けられる人から助ける人になっていくんだよ」と常々言っています。この訓練の目的は、単に操法を覚えることだけでなく、本当に災害が起きたら、自分たちがこの地域を守るという自覚をもってもらうことです。訓練を通じて、まちを守る子どもたちが育っていくと同時に、地域の人と顔見知りになることで、学校の外でのつながりも深まるといいなと思っています。池袋消防団副団長 和田健男さんわ だ たけ お

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