20220815_gougai
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★★★★★★ト受賞作品ト受賞作品552作品中学生の部中学生の部社会は大木だ。木というものは地下深くに丈夫な根を張り巡らして幹、葉、花、実ができてゆく。それら全てで木だ。社会も似ている仕組みになっている。「個人」が根底にあってその先に家庭、職場・学校、地域などがあり、その全てを「社会」と呼ぶ。だが、それは健康な木であって、根が丈夫でなければ倒れる、あるいは枯れる。社会の木も個人の根が丈夫でなければすぐに倒木となってしまう。つまり、個人が明るくなければ社会は明るくはならない。ではどうすれば個人が明るくなるのか。私が小学校6年生の時のこと。世の中は新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛を余儀なくされた。学校もオンライン配信、マスクの着用は当たり前。当時の私は自粛生活に疲れ、とうとう心身に影響が及んだ。そんなときに常に寄りそってくれたのが家族だった。病院への付き添い、カウンセリングの予約。そういった目に見える形のケアだけでなく、目に見えない心のケアまで徹底してくれた。笑顔の絶えない雰囲気作り、体調のすぐれない時は体を摩って落ち着かせてくれた。こんなにも家族はチカラになるものだと身をもって感じた。寄り添ってくれること。これこそが明るくなれる理由で先ほどの問題の答だ。「今、社会は明るいか」と問われても、胸を張ってイエスサインは出せないのが現状だろう。だから、寄り添ってほしい。こんな今だからこそ、そばにいてほしい。助けを必要としている人に。また、それが当たり前な世の中であってほしい。私が家族に助けられたように以降はその人の家族、いや「加族」となって隣にいたい。家に族さなくてもいいのだ。要救助者の社会に加わって手を取り合うべきだと思う。では要救助者とはどのような人だろう。いじめっ子と呼ばれる人がいる。その人は暴言・暴力といっ大きな木優秀賞西池袋中学校 2年生   菊池 凜音さんきく ち    り んた過激な攻撃、無視や陰口といった陰湿な攻撃、あるいは両方の攻撃をターゲットに向けて振るってくる。したがって、いじめっ子はいわば加害者に当たる。実際にそういった人からの刃で傷つけられてしまった人、被害者がいる。このようなケースだと多くの場合が被害者のサポートを手厚くされる。もちろん心身に危害が加えられたのだから当然だ。しかし、これでは問題は解決されない。なぜなら、加害者には何らかの理由や動機があってその行為に行き着いたのかもしれない。または、無意識のうちだったかもしれない。だからその加害者らの悩み・わだかまりといった部分を改善してあげないと今後また同じようなトラブルが起きてしまう。つまり、加害者は被害者であり要救助者ということになる。非行に走ってしまったから、罪を犯してしまったから。そういう理由で軽蔑するのではなく一人の人としてSOSに気づいてほしい。そして何より寄り添ってあげて頂きたい。それは一番近くにいるあなた方だからできるはずだ。社会を明るくするには、「寄り添うこと」私はこれを強く訴えたい。社会の木が大樹となるように。私が考える「明るい社会」とは、皆の権利や人権が当たり前に守られ、笑顔でいられるような社会のことです。しかし、今のままでは私の目指す明るい社会の実現には繋がらないと思っています。その一つの例として、町中での障害者との関わり方や、障害者に対する環境が整っていないということです。障害者の中には普通に読み書きできない人もいるし、私達とはぜんぜんちがう視点で世界を生きているのだと思います。この前、テレビで障害者に優しくしている人を見て、私もこんな人になりたいと思いました。しかし、世の中はテレビで見たような優しい人たちばかりではないと思います。視覚障害者の人にとって大事な白杖を邪魔な扱いをする人がいると知りました。視覚障害者の人達は沢山の苦しみを経験して今を生きているのに、その苦しみも知らずに邪魔をしている人がいると考えると、強い怒りを感じます。そんなハンディキャップを負った人と健常者がお互いに安心して暮らせるには、沢山の努力と沢山の人達の理解と協力が必要だと思います。まず、障害を知らない人達に障害の大変さを知ってもらうために機会を設けることで障害者の味方を増やせば、明るい社会にグッと近づくと思います。そして、知るだけでなく実際に行動に移すことです。行動するというのは少し難しいかもしれないけど、友達や家族、学校や住んでいる地域の人達と協力して、ポスターを作ったり、見回りに行ったりすることです。言葉にするのは簡単で、実現するには、沢山の時間が必要だと思います。障害者の問題だけでなく、外国から来た人たちに対してや、社会的に立場の弱い人達が活躍できる場を設けることも大切です。外国から来た人にはその人達なりの考え方があるし、日本の人達にも日本人なりの考え方があるのをお互いに知って、その上でどうするかが重要なポイントです。そして、私達の一番身近にある問題として、「いじめ」があります。私は、殴る蹴るなど目に見える傷の他に、言葉による見えない傷があるのを知っています。どんな方法であっても人を傷つけることがあってはならないのです。私は集団からいじめを受けたことがあります。「なぜ私をいじめるのだろう?何か悪いこと、したかな?」と悩んだり、自分では間違ったことはしていないのに、なぜ責められるのかと落ち込んだりしました。そんな時、環境が変わり、自分を受け入れてくれる人と出会えて、いじめる側は仲間が多くなると、どんどん気持ちが大きくなって、理由などなくても嫌がることをしてしまうことを教えてもらい、仲間が増えれば増えるほどエスカレートして、どんな悪いことでもできてしまうのだということに気付きました。今、中学校生活を送る中で、集団で一人をいじめるような未来を生きる人達へ常任委員長賞千登世橋中学校 1年生   田 琴音さんよし だ    こと ねことは起きていません。実は見えていないだけで誰かが苦しんでいる可能性も十分に考えられます。時々、私の友達に、いじめの加害者や被害者がいたら…と思ってしまうことはありませんか。いじめっ子やいじめられっ子にもそれぞれ良い点があるので、人として全否定することは間違っていると思います。それぞれの考え方、持っている長所短所は違うので、それを認め合うことがいじめを減らす第一歩だと考えます。分かり合うことは難しいけれど、時間をかけて互いの違いを認める努力を継続していくことがとても重要だと思います。このように、一人ひとりがいじめについて真剣に考え、自分の発する言葉や行動にもっと責任を持つようになれば、それが一つのクラスだけではなく一つの学年で、一つの学校でいじめがなくなることにつながります。これをあらゆる学校で広めていけば、まずは学校がよくなり、その生徒が大人になれば明るい社会が実現するのではないでしょうか。ここまでのことから、私達中学生は、人との違いがあることを認める練習や、自分とは考えの異なる人の立場になってその気持ちを想像する力をつけることが必要だと思っています。また、共感する力、我慢をする練習も必要で、これらのことを継続して身につけていくプログラムを作って、時間をとってそれを実践することが重要なのではないでしょうか。犯罪を犯したり、非行に走ったりする前に、小学校や中学校でいじめを無くすためのこういったプログラム実践していけば、非行率を下げ、社会に出たときに犯罪に手を染めることも事前に防げるのではないかと、考えるようになりました。そうすれば、少しずつ明るい社会が現実のものになってくるのだと思います。「ありがとう」この言葉、心を込めて言っていますか。私は今まで心を込めて言っていることは少なかったと思います。そのことに気がついたのは春休みのことでした。その日は、友達と遊ぶ日で、一緒に映画を見に行く予定でした。少し急ぎ足で待ち合わせ場所まで行っていると、知らないおばあさんから話しかけられました。「ごめんね、お嬢ちゃん。駅まで行きたいのだけど道が全く分からなくて。おしえてくれますか。」私はこの言葉を言われた時、一瞬急いでいるからと言って断ろうかと思いました。少し面倒だったというのも正直な理由です。しかし、本当に困っていそうなおばあさんの顔を見て、仕方なく道を教え、途中まで一緒に行きました。待ち合わせには遅れましたがおばあさんの心の込もったたくさんのお礼の言葉と、道が分かった時の安堵の顔を見ると、とても嬉しくなり、一瞬でもためらったことに少し後悔しました。それと同時に親や友達にありがとうと言ったとき、そこまで嬉しくなさそうだったことや、心の込もっていない、素っ気なくありがとうと言われたときにそこまで嬉しくならなかったことを思い出しました。そして、もしかしたら私は、今まで心を込めず口だけでお礼を言っていたのかもしれないとそのとき初めて気がつきました。これからは心を込めて、相手に感謝のお礼の言葉優秀賞西池袋中学校 2年生   石川 陽奈子さんいしかわ    ひ な  こ気持ちを伝えるようにお礼を言ったり、どんなに小さなことでもお礼の言葉を忘れないように心がけようと思います。そして、今回会ったおばあさんのような、意識せずに気がついたらお礼の言葉が口から出ているような人になりたいと思っています。感謝の気持ちは、物やインターネットなどで伝えるのも一つの手かもしれません。しかし、結局は実際に会って言う言葉が一番相手に伝わり、相手に響くと私は思います。また、心を込めて口にすると相手も自分も損することはありません。今の時代、インターネットで簡単にお礼を伝えることが出来ると思います。しかし、相手のためにも、自分のためにもたまには心を込めて身近な人にお礼を言ってみるのはどうですか。「ありがとう」が、たくさんの人に心を込めて言ってもらえることを願っています。

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