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知っていますか? ヤングケアラーのこと\教えて、ヤングケアラーのこと!/立教大学コミュニティ福祉学部助教 田中悠美子先生に伺いましたprole●社会福祉士、介護福祉士、社会福祉学博士。認知症専門デイサービスで介護職として勤務。若年性認知症の親と向き合う子ども世代のつどい「まりねっこ」の立ち上げ・運営や、相談支援を行う。(一社)日本ケアラー連盟理事、ヤングケアラープロジェクトのメンバーとしてヤングケアラー・ケアラー支援に取り組む。Q.「ヤングケアラー」と子どもの「お手伝い」の違いは?A. 本来、お手伝いは親などの主体となる方がいますよね。おとなの代わりにケア責任をもっている状態が「お手伝い」との違いですね。誰か代わりの人がいて本人が「できない」と言える選択肢があるか、がポイントです。心や体に不調を抱える家族がいるという環境も違いです。ケアは内容・時間・頻度などから多種多様にわたります。Q. ヤングケアラーは何が問題なのでしょうか?   どのような影響がありますか?A. 家族のために家事や介護を担っていることは、それ自体が悪いことではありません。学校への遅刻・欠席が多くなることや成績不振、友だち付き合いで孤立したり、睡眠不足、重労働によるけがで体をこわすなど、さまざまな影響があります。一方で、当事者のポジティブな面にも注目をしてほしいですね。小学生でもATMが使えるなど生活スキルやケアの実践的な経験値が高いんです。責任感が強く、家族との絆が強い子が多い。そういう面も就職や受験の時などで評価されるといいですね。Q. 私たちができることは何でしょうか?   どのような心がけが必要?A. 本人にとって信頼できるおとながいることがとても大切です。すぐに何とかしてあげたい!と思いがちですが、何よりも「話を聴く」ことです。日頃から「最近、どんなマンガ読んでるの?」「最近、何が好き?」などその子に焦点をあてた声がけをしていくことだと思います。また「あの子はいつも遅刻や居眠りが多いけど、何か理由があるかも?」という視点を持っていただけたらと思います。支援へとつなげようと焦らずに、本人の意思はもちろん、家族全員の状況を理解することが大前提なんです。Q.子どもたちへメッセージをお願いします!A. 家族と同じくらい、自分の心や体や時間を大切にしていいんだよ。ケアをする/しないは自分が選んでいいし、いつでも助けを求めていい。自分が人生の主役という軸を持ってくれたらうれしいです。● 特 集 ●まわりにこんなことありませんか?病気や障害のある家族の代わりに、買い物・料理・掃除・洗たくなど家事をしている家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳をしている障害や病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている参考:(一社)日本ケアラー連盟ホームページ本来、おとなが担うような家事や家族の世話などを日常的に行っている、18歳未満の子どもを「ヤングケアラー」といいます。かつて、三世代や大家族で生活している家庭が多かったころは、家族のケア役割が複数のおとなたちで分担できていました。しかし少子高齢化や核家族化が進み、子どもがケア役割を担うようになっています。■問子ども家庭支援センター子どもの権利第2グループ☎6858-2302

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