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1/300耐震構造免震装置▲免震装置に組み込まれる積層ゴムとオイルダンパー4平成23年(2011年) 6月5日臨時号●災害対策特集■東日本大震災を踏まえて区長●まずは、この度の東日本大震災により被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。 未曾有の大災害となった東日本大震災は、我々に計り知れない自然の力の恐ろしさと、近い将来起こるであろう首都圏を襲う地震に対する備えが、いかに大切かを教えてくれました。 私たちが一生に一度遭うか遭わないかわからないような、今回の大震災を目の当たりにして、区民の皆さんから「新庁舎は大地震が来ても大丈夫か」と良く聞かれます。地震対策について専門的な立場から、教えてください。六鹿●地震対策で一番重要なことは、建物本体が壊れないということですが、新庁舎は、免震装置により地震力を吸収して、耐震性を向上させる計画としています。関東大震災級の直下型の大地震が来ても、本体が損傷を受けないよう設計しています。 さらに、最近、超高層建物に対して心配されている長周期地震動も、対策を先取りして構造計画を行なっています。したがって、関東大震災のような直下型の地震や、今回のような海溝型の巨大地震のいずれに対しても十分な検討を行ない、対策を講じています(下記「層間変形角図」参照)。区長●今回の地震でエレベーターが故障した例もあるようですが。六鹿●庁舎のエレベーターは、耐震性の高い造りとなっていますが、そのうちの何台かは、さらに耐震性能を高め、巨大地震が来てもエレベーターが故障で1台も動かないといった状況を回避できるよう、検討しています。 また、停電時でも何台かは非常用電源で動かすことが可能ですので、災害対策本部として十分機能する造りになっています。 高層のマンション部分のエレベーターも、耐震性の確保はもちろんのこと、非常用電源により停電時でも利用可能な計画としています。区長●非常時の電気の重要性を今回痛感しました。電力不足も今後すぐには回復しない可能性がありますし、通常時の停電も考えられますが。六鹿●非常用発電設備については、現在72時間対応のオイルだきガスタービンを計画しています。これは、これまでの常識では十分な仕様ですが、平常時の設備がすべて使用できるわけではありません。庁舎で言えば、防災指令本部機能をはじめ、他に何を生かすべきなのかを具体的に洗い出し、計画に反映します。●環境・エネルギー対策区長●今回の震災の影響で、これからますます自然エネルギーの必要性が高まりますが、新庁舎の環境・エネルギー対策はいかがですか?六鹿●今回、外壁に“エコヴェール”と名づけたパネルを取り付けていますが、その“ひさし効果”によって建物の熱負荷を低減しつつ、太陽光発電、緑化、防風、目隠しといった様々な機能を持たせています。屋上の“豊島の森”の緑と水も、建物の熱負荷を大幅に低減しています。太陽光発電パネルは、通常時はもとより非常時にも電力の供給が可能です。さらに自然採光、自然通風といった自然エネルギーの直接利用を図ると同時に、LED照明をはじめとする最新省エネ技術を採用しています。 新庁舎は、これら自然エネルギー利用と省エネ技術の導入によって、全体エネルギー使用量の30%を削減しています。●建物全体の安全性について区長●新庁舎は民間マンションと一体の建物ですので、マンション部分の地震対策も重要ですが。六鹿●庁舎とマンションの防災計画は双方独立していて、お互いに影響し合わない計画としています。 繰り返しになりますが、マンション部分も免震構造により、揺れ自体が小さくなります。また、家具なども固定できるように考えています。マンション内には、倉庫を設け、水や非常用食料などを備蓄する計画になっています。災害時にもマンション内にとどまることができる設計としています。 建物自体も、耐震性を含め最高レベルの設計強度で行なっていますので、100年は十分に持つ長寿命建築です。区長●新庁舎の完成までに大きな地震が来ないことを祈りながらも、それまでの間の災害時対策を可能な限り実施しなければならないと痛感しています。 先日、再開発組合が入札を行ない、施工者が大成建設(株)に決まりました。いよいよ工事に入っていくわけですが、日本設計も大成建設もそれぞれの分野で日本を代表する会社ですので、その技術力を十分活かして取り組んでもらいたいと思います。 今日は、専門的な立場からお話を伺い、安心いたしました。どうもありがとうございました。特別対談新庁舎の地震対策を語る▲免震構造により、耐震構造の建物に比べ各階の変形幅が1/2~1/3に軽減される㈱日本設計代表取締役社長 六鹿正治氏 × 豊島区長 高野之夫 3月11日の東日本大震災やその後の計画停電により、新庁舎の耐震性や災害時における庁舎機能の維持などに、区民の皆さんの関心が高まっています。新庁舎が入る南池袋二丁目の再開発建物の設計を統括する、㈱日本設計代表取締役社長 六鹿正治氏と高野区長が、こうした問題について語り合いました。層間変形角図051015202530354045501/1501/1001/75階免震構造変形幅・部材損傷度 小大エコヴェールで覆われた建物の外観住宅(11~49階)庁舎(1階の一部と 3~9階)エコヴォイド太陽光発電豊島の森エコヴェールエコヴェールエコミューゼ地域冷暖房システム南北雨水の再利用免震装置ろく しか まさ はるみ ぞ う環境対策モデルとなる新庁舎▶自然換気・自然採光・エコ照明六鹿社長(右)と高野区長
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