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2広報としま特集版 平成27年(2015年) 5月号 No.1641豊島区役所 〒170-8422 豊島区東池袋1-18-1 ホームページ http://www.city.toshima.lg.jp/日本大震災の経験は、コンクリート的な強さではなく、人間のつながり、英語で言うところの“Bond”こそ僕らの力になるということを教えてくれました。庁舎建築においても、その場所が住民にとってつながりの中心だと感じてもらうことはとても大切だと思います。一般に公共建築はきれいなオフィスビルになりがちで、どうしてもそこで働く職員と距離ができてしまう。そこで、この建物は区民にとって近しい場所にしたいと考えました。~49階に位置するマンションの住民もまたそのつながりの一員になります。一般のオフィスビルは夜になると明かりが消えてしまいますが、住居があることで夜間も人間の体温を感じることができます。そういった近くに人がいる安心感は、都会の良さでもあります。24時間ぬくもりを感じられることは、庁舎にとっても大きなパワーになると思います。ンションと庁舎を一体化するというプランを聞いたとき、高い塔ではなく高い樹木のような建物にしたいと考えました。人工的に葉っぱを造り出すデザインは、ずっと私が温めてきたプランでした。これは太陽光パネルや水やりのシステムといった、最新のテクノロジーがドッキングして初めて実現できたことです。本当に良い時期に巡り会えた仕事だと感じています。木の葉のように庁舎を覆う「エコヴェール」は、とてもよくできたシステムです。木の形をモデルにしたのではなく、葉っぱが持つ光合成などの環境調整機能も含めて設計された建築は、かつてありませんでした。そういう意味では、21世紀の公共建築において、世界のさきがけとなるモデルになるのではないでしょうか。住民のつながりの 中心にあるのが庁舎です21世紀の建築が追求すべき 一つのモデルができました人のぬくもりがこの場所の 大きなパワーになります高い塔ではなく高い樹木のような 庁舎をイメージしていますマ樹東11建築家 隈 研吾氏が語る新庁舎世界にも例を見ない多くの特徴を備えた新庁舎には、環境と建築、人と建物の関係性を重視する隈研吾氏の設計理念が反映されています。落成にあたり、改めて設計にあたった思いを伺いました。~9階まで吹き抜けになった中央のアトリウムは、4つの入口から訪れたすべての人が行き交う場所。エコヴォイドと呼ばれる自然採光と自然換気を取り入れた空間は、区役所の風通しの良さを感じさせるはずです。アトリウムは 開かれた庁舎の象徴です1

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