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豊島区役所 〒171-8422 豊島区南池袋2-45-1  ホームページ https://www.city.toshima.lg.jp/2広報としま特集版 令和6年(2024年)2月号 No.2052黒々とした長い羽根を振り回し、獅子たちが地面を強く踏みつける。毎年5月第2日曜日の長崎神社とその周辺では、五穀豊穣と悪疫退散を願って長崎獅子舞の道行き・奉納が行われている。3㎏ほどある獅子頭の中は、舞手には外が十分に見えないほど視界が狭い。繰り返される踊りに息は上がり、汗がにじむ。互いに位置が見えにくい中で、空気を感じ取って全員で振りをそろえる。これこそが伝統芸能である。長崎獅子舞の始まりは、元禄年間(1688~1704年)に当時の長崎村の住人が、医者に行っても治らなかった病気が治ったお礼に神社へ獅子頭を奉納したことと言われている。その後も江戸時代に疫病が流行った際には、病気平癒を願って獅子が長崎村中を何度も回ったようだ。現在、この長崎獅子舞を継承しているのは長崎獅子連・長崎獅子舞保存会の皆さんである。長崎獅子連は幅広い年齢層で構成され、20代のメンバーや中高生も所属している。本稽古は月に一度行っており、その真剣なまなざしは本番さながらだ。中高生センタージャンプ長崎では、長崎獅子連の中高生を中心に、興味をもった小学生以上を対象に稽古を行っている。そこで指導するのは、ジャンプの卒業生であり、大学院生の山岸佑司さん。伝統をつないでいくためには、自身が次の世代に伝えていく必要があると語る。ジャンプで練習をしている生徒たちは、学校の授業で長崎獅子舞を学んだことをきっかけに参加した人が多い。若い頃から地域の文化や歴史に触れていることが、長崎獅子舞の存在を大きくしている。区には300年の歴史を持つ「長崎獅子舞」という無形民俗文化財がある。伝統を継承しているのは、小・中学生を含む幅広い年齢層の長崎地域の人々。地域で大切にされてきた長崎獅子舞への想いを、次世代へとつないでゆく。■問庶務課文化財グループ☎3981-1190初めて師匠たちと一緒に舞台に上がった瞬間は、心が躍りました。同時に、やっと一員になれたという達成感もありましたね。長崎獅子舞の伝統に携わることは、このまちを愛し、ただ住んでいる場所ではなく、より大切なまちとして深く知るきっかけとなりました。今は獅子舞を踊らなくても病は治るし、作物は栄養を与えれば育ちます。伝統芸能に大切なのは、やる意味ではなく、想いです。これからもっと若い世代を巻き込んで、まちを愛する想いをつなぎたい。今はまだ学生ですが、長い間続いてきた歴史を次の世代に伝えるために、これからもこの活動を続けていきたいです。長崎獅子連 山岸佑司さんInterview◀豊島区文化財ブックレット1・3長崎獅子連編集。物語や獅子の種類、振り付けなどをわかりやすく解説しています。区役所本庁舎7階庶務課で配布しています。誇り高き、このまちの伝統ご こくほうじょうあくえきたいさんびょうき へい ゆは や長崎獅子舞で大事にしているのは、ただ振り付け通り踊るのではなく、「演じる」ということ。獅子の個性を理解したうえで、舞手それぞれがカラーを出していくところに楽しさがあります。私は会長になった時に、この伝統に込められた想いや素晴らしさを、私の代で途絶えさせてはいけないと強く感じたんです。そこで、人前で披露する機会を増やし、言葉で残せるようにブックレットを作成しました。これをきっかけに多くの人に長崎獅子舞を知ってもらえたらうれしいです。コロナが落ち着いてきた頃には、まちで舞を披露すると多くの方に喜ばれました。元々病を治す祈りを込めたものですが、人々をつなぐ存在になっていると感じた瞬間でしたね。最近では中高生の参加も増え、次の世代を指導する若手が出てきたことも大変喜ばしく、頼もしく思っています。地域での支え合いを大切にしながら、これからも盛り上げていきたいです。長崎獅子連会長 喜多山 哲延さん▲舞手だけでなく笛方としても活躍長崎地域を練り歩く道行きの様子残したいこの想いながさきししまいおもおど

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